Project Jewel(仮)の背景¶
- 日本におけるソフトウェア製造は、各社が保有する開発標準に基づいて製造が行われている。その内容は一般的な内容から、各社の個別要件に基づいてカスタマイズされた内容まで幅が広い。
- しかし、実態としては開発プロジェクトごとに固有の要件定義・設計・製造・試験が実施されていることが多く、モノづくりの品質は才能あるエンジニア人財によって担保されている。
- それ自体が属人化というのは言い過ぎだと思う。我々エンジニアは、一般的なルールを認識し、それぞれの解釈でモノづくりを行っているのだ。論理はあくまで論理であり、それを個別に実務へ落とし込んでソフトウェア製造を行う諸先輩には、尊敬の念が止まらない。複雑多様な要件に対応してモノづくりを行うそれぞれのエンジニアが人財であり、日本社会の光り輝く宝のような存在だとも思う。大きな言葉を使ってしまったし、それを若輩の筆者が言うのはお門違いだとは思うが、率直な言葉ではある。
- ただ、我々エンジニアがプロフェッショナルとして、理論を実務に落とし込む過程で、開発が汚くなる傾向があることも事実ではある。汚くなる原因は様々であり、内因や外因など複合的な要因があって、開発が汚くなる。それ自体が悪だとは思わない。どんな現場でも、仕事を推進し、改善しようと、立て直そうとする人財がいる。それぞれの人財が、個人の最適解を模索しつつ、現時点の開発が汚いのは、それは最終的に綺麗になる過程であり、ゴールに至るまでの過程が汚いことは絶対悪ではない。
- と、開発現場の戦場に立つ諸先輩への敬意を述べつつ、我々エンジニアが開発現場という戦場で、暗中を模索しながら歩んでいるのも事実であり、理論やツールを使って、少しでも道先を明るくしながら歩みを進めて、リスクを回避できるように可能な限りの努力を積んでも、足元の暗闇に足を滑らせてしまって転んでしまうこともある。
- そんな暗闇に当たりをつけて歩みを進める我々エンジニアには、大雑把なガイドブックがあってもよいのではないかと思う。薄暗い暗闇を進む我々エンジニアの半歩先を照らすガイドブックを文字に起こしたい。
- 筆者が得てきた知識は、日本社会でのソフトウェア製造現場で積み重ねてきた内容であり、すべては諸先輩から継承してきた知識である。
- それらの継承されてきた日本のソフトウェア製造の知識を、ひとつの結晶として形づくり、薄暗い開発現場を進む我々エンジニアの半歩先を照らす光源となり、胸中に抱く光り輝く宝石のようなガイドブックを文字に起こしたいとおもう。
- そして、諸先輩から受け取った知識を次の世代へと繋ぐ継承の形として、このガイドブックを書き起こしたい。
- 私個人としての私を育ててくれた日本社会への恩返しであり、広く捉えて、地球という宇宙船で共に生きる人類に属する1個体として、人類社会がより良い方向へ1mm前進するような貢献としたい。
- と、高尚そうなことをつらづらと述べたが、要はキレイな開発しようぜってことを言いたいだけでもある。ガイドブックがあったら便利だから、作っちゃおうぜっていうノリでもある。
- このガイドラインは無償で公開する予定である。本件を書き起こす内容は、私個人が開拓した内容ではなく、さまざま開発現場や諸先輩で継承した内容であり、それを有償で公開することはおこがましいという思いである。ただ、各企業が開発情報を有償で公開することが否定されるべきではない。企業活動のなかで蓄積された情報資産であるから、その価値が有償になることは至極当然のことである。本プロジェクトにおいては、その背景と目的に基づいて、無償で公開することを目指している。
- なお、ウェブシステムにスコープを絞っているのは、筆者の経験がウェブシステム構築中心だからである。
Project Jewel(仮)の目的¶
• 本プロジェクトでは、ソフトウェア開発のなかでもウェブシステム開発にスコープを当てて、開発のガイドブックを書き起こすことを目的とする。 • 実務での利用を想定している。学術的な研究は目的としていない。 • また、対象は現場のエンジニアを想定している。初学者へのhow-toではない。しかし、開発で求められる内容を俯瞰的に把握することは可能であるため、初学者にとっても有用な場合もある。